土佐バリ
来年秋に出版する「鮎毛バリ新図鑑」の取材に9月末、高知市にある高橋毛針と四宮釣具店そして岡林釣具店を訪問した。
鏡川を望む工房で作られる高橋毛針は今や土佐を代表する人気となっている。
その二代目の高橋生之氏は9月中旬に亡くなられた。残念でならない。
現在は生之氏の次女の夫である山本真司さんが三代目を継いでいる。
山本さんが巻いた毛バリに奥さんの香百合さんが金箔張りをする。
そしてお母様が袋詰めして発送するという家内工業で、高橋バリの伝統は確実に引き継がれている。
ハリは2.8という小バリが主体。7月8月が出荷の最盛期となる。
解禁初期は大バリでもよいが、7月の夏場を迎えると魚もスレて食いつきが悪くなる。そんな時、小バリの土佐バリが注目されるというわけ。そんなことで北陸の神通川などの本場では欠かせない人気のハリである。
その中で山本さんの推薦バリ№1は「松風先銀入り」だという。
わたしには、来年出版する本に掲載するため、高橋バリ140本の写真を撮るという大仕事が待っている。1本1本丁寧に巻かれた美しいハリ140本を前にすると身が引き締まる。
「土佐のいごっそう」という言葉がある。豪快なお酒の飲みっぷり。頑固で強情、権威に屈せず妥協しない、そんな高知の男性気質を表現したのが「土佐のいごっそう」だ。
高知の女性の性格を表す言葉は「はちきん」。高橋毛針のお母さんは焼酎を1本空けるという、まさに土佐の「はちきん」なのだ。