おすすめ生き締め法と冷凍保存法
アユはスイカとかキュウリの香りに喩えられる繊細な清流魚です。
この香り高き川魚を美味しくいただくには手荒く扱うことは厳禁です。
釣り上げたアユが生かしビクの中で体色が白濁し始めたら、もう腐ってしまったのも同然です。
いくら入れ食いで忙しくてもこまめに生かしビクの中をのぞき込んで、泳ぎ方がおかしいアユを見つけたら即座に氷が入ったクーラーボックスの中へ収納し保冷しておきましょう。
アユの毛バリ釣りには古くから生かしビクとして、ズック式の網ビクが愛用されてきましたが、実は直射日光が当たって水温が上昇しやすく、また速い流れの中ではビクがもまれてアユが早く弱ってしまうのが大きな欠点です。
できればアユの友釣り用として市販されている引き船(写真)をお薦めします。
流れの中でも水の流通がよくて安定性も抜群で、アユのストレスを最小限に抑えて生かしておくことができます。
生き締め保冷法
美味しくいただく第一歩として釣り場での納竿時、自宅まで持ち帰るための最良な生き締め保冷法を覚えておきましょう。
① 釣りを終えて川から上がってきたら、ウエダーなどを脱いでフィッシングウエアを着替える前に生き締め準備の開始。
まずは生かしビクの引き船の水をアユがひたひたに浸かるくらいまで抜く。
② 次にコンビニなどで買っておいた砕氷を半量ほど投入したら……
③ アユが暴れて飛び出さないうちに素早く蓋を閉じる。
氷水を飲み込ませて内蔵の芯までキンキンに冷やすことがキーポイント。
氷水の生き締めを終えたら着替えてOK。
④ 待つこと15〜20分、生かしビクの氷水をしっかりと切って、アユの数が少ない時は砕氷袋に詰め替えるとよい。
⑤ 砕氷袋のジップを止め、クーラーボックスで持ち帰る。
⑥ 一方、釣ったアユの量が多い場合は小型のクーラーボックスに冷え切ったアユを収納し、その上から砕氷を被せておく。
アユ釣り専用に市販されている保冷力が強い製品(写真)がベスト。
⑦ また、遠征釣行の際は溶けた冷水が溜まってしまうので時々、途中のサービスエリアなどでクーラーボックスの排水口から捨てるとよい。
必須下処理/フンの絞り出し
アユは川底の石に付着している石アカとかコケと呼ばれる珪藻類を常食にしています。
このため、釣り上げたアユの腹の中には内臓とともに、通称フンと呼ぶ石アカの食べかすが残っています。
水況や釣り場など諸条件によって個体差はありますが、そのまま料理すると後味が悪いのでフンは必ず絞り出しましょう。
釣行後1〜2日間で食べる冷蔵保存分はもちろんのこと、冷凍保存しておくアユも帰宅後すぐにフンの絞り出しの下処理を施しておくとよいでしょう。
フンの絞り出し方は簡単です。
アユの背部を支えたら、親指と人差し指の2本指で腹ビレ下から尻ビレに向かって腹の下部を肛門まで軽く圧迫するだけ。
緑褐色や茶褐色のフンが出てくるので2~3回繰り返せばOKです。
強くしごき過ぎると内臓まで飛び出してしまうので注意してください。
冷凍保存法
一度に食べ切れない好漁時には冷凍保存しておくとよいでしょう。
最も一般的なのは大型の釣具量販店などで売っている冷凍袋(写真)を使う保冷法で、中型20cm以下のアユにはMサイズがちょうどよく100枚入り700円前後で購入できます。
しかし、冷凍焼けしやすいので冷凍保存後1カ月間以内に食べ尽くしたほうが無難です。
また、シーズンオフまで残しておいてアユ料理を味わいたい場合はビニール袋を溶着するヒートシーラーや小型の真空パック機を併用して冷凍保存する方法が最善だと思います。
今回は市販の冷凍袋を用いた簡単な冷凍保存法を紹介します。
① 冷凍袋にはアユを1尾ずつ入れ、まずボールなど容器の中で袋の3分の2程度水を張る。
この際、アユの鮮度を保つため氷水を使うとよい。
② 次に水の中でアユの頭付近をつかんで袋を反転させて抜き取り、水を全部流し出す。
③ 袋の中は真空に近い状態でアユに袋が張り付くので、空気が入らないうちに開け口を折り返すか固結びで止める。
④ 最後に市販の冷凍用ジップバッグに重ならないように一列に並べて収納して冷凍保存する。