釣り場
アユの主要釣り場として条件がそろった生息域は、ヤマベ(和名オイカワ)やハヤ(和名ウグイ)などの清流魚が混生している里川の中流部から、ヤマメやアマゴといった渓流魚も泳ぐ上流部まで長い流程があります。
アユが棲む流域にはチャラ瀬、ザラ瀬、トロ瀬、荒瀬、急瀬、段々瀬などなど流速や水深によって呼び名が変わる瀬が続き、その流れが速い瀬を区切るように、ところどころで流れの緩やかな淵やトロ場が出現して、変化に富んだ川相を作り出しています。
アユの毛バリ釣りは別名ドブ釣りといい、ドブの語源は水深が深くて流れのよどんだ場所を意味します。
このため、アユの毛バリ釣りには水深があって流れの緩やかなポイントが適しており、アユの毛バリ釣りの2大釣り場は淵とトロ場といえるでしょう。
このほか、流速が速い瀬にも比較的水深があって、毛バリ釣りポイントが隠れています。
たとえば、深瀬の流心脇や段々瀬からの落ち込み下などは流れ淵と呼んでおり、また、トロ瀬やエン堤下の溜まり場も見逃せません。
ここで、アユ釣り場の代表的な川相を確かめてみましょう。
上流部から瀬が流れ込んで大きくカーブを描き、右岸(左手)の岩場に当たって“淵”に変わります。
この流れは再び瀬と化して段々瀬から落ち込んで“流れ淵”が現われます。
その下手では流速が徐々に弱まって“トロ瀬”や“トロ場”に変わり、最下流で瀬に移っていきます。
ポイント別のアユ毛バリ釣り場
淵
アユの毛バリ釣りファンが憧れる超一級釣り場といえば、淵にとどめを刺します。
そびえ立つ大石巨岩に囲まれた大淵から岩盤底の淵まで様々ですが、水深は浅くても1m以上あって、大場所になると3〜4mもあります。
アユの付き場は時間帯など諸条件によって変わりますが、淵ねらいの場合は最深部に向かって水深が深くなっていくカケ上がりが主力ポイントといえるでしょう。
トロ場
アユの毛バリ釣りに入門したばかりのビギナーにとって淵とトロ場の見分け方は難しいと思います。
トロ場の水深は淵に比べて少し浅く70〜80cmから1.5mくらい、広大なトロ場のことを毛バリ釣りファンは大トロと呼んでいます。
水面には波立ちが少なく穏やかな流れが下っていきます。
川底全面には握りこぶし以下の小石から、野菜のキャベツ大の底石が散らばっている感じです。
エン堤下
両岸から仕切って 川の流れをせき止めるように造られたエン堤は淵やトロ場と並び称される一級ポイントです。
白泡が立つエン堤直下が滝つぼの最深部となり、下流に向かってカケ上がり状に少しずつ浅くなっていくことが多く、大きなエン堤になると何10人もの釣り人が肩を寄せ合うようにしてサオを伸ばす光景は壮観です。
流れ淵とトロ瀬
深瀬や消波ブロックの瀬、段々瀬からの落ち込み下など水深がある瀬に形成される流れ淵は流速が強くて釣りづらく、毛バリ経験が浅いビギナーファンには難易度が高いポイントです。
しかし、この流れ淵に陣取ったアユはナワバリ意識が強く、その引き味もパワフルです。
流れ淵の基本的な釣り方は流勢が強い流心を避け、流れが弱まる流心脇のヨレや反転流にねらいを定めることです。
また、トロ瀬はその名の通り流速が比較的遅く、流れ淵の下手に続いていることが多くあります。
底石に刻まれたアユのハミ跡
成魚に育ったアユの主食は底石に付着している珪藻(けいそう)類で、釣り用語では石アカともいいます。
アユ同士のナワバリ争いとは美味しい石アカをめぐるエサ場争いでもあり、アユが体を反転させるようにして石アカをそぎ取った口元の印がハミ跡です。
しかし、アユは四六時中捕食活動を行っているわけでなく、水温が上昇してくる時間帯に向かって活性が上がってきます。
底石に付着している石アカの良否を確認することで、その日その時のアユの魚影や活性を知ることができます。
一度降雨の大水でアカ腐れなど古アカを一掃し、その後照り込んでくれるとフレッシュな新アカが付き、アユの活性が上がります。