ーー11 アユ料理②《単品レシピ5選》

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〈参考メニュー〉

  • 塩煮
  • フライ
  • 南蛮漬け
  • マリネ
  • 開き干し

 


「塩煮」


のぼり串を打って清流を勢いよく泳ぐ様を表現した塩焼きは、だれでも知っている代表的なアユ料理です。この塩焼きにも引けを取らない名レシピとして、アユの生(き)の旨さを味わえる「塩煮」を挙げておきます。

作り方はごく簡単。塩水を弱火でコトコトと煮ることで身や骨、そして内臓から上質なだしがにじみ出て、火を止めた後はそのまま静かに寝かせておくと、独特の豊潤なだしをもう一度塩煮のアユが含んでくれるのです。美しい姿を残しつつ山椒の香りが初夏の若アユの美味しさを引き立ててくれます。

 

【材料】
アユ、約5%の塩水(水500ccに対し自然海塩25g、日本酒50cc)、粒山椒

 

 

作り方


①最大のコツはミネラルを含んだおいしい自然海塩を使うことで、約5%の塩水を作る

 

 

 

 


②鍋の中にアユを並べたら、約5%の塩水を浸るぐらいに注いで落とし蓋を被せる。最初は中火にして、煮立ってきたら弱火に落とし、ことこと15分ほど煮続ける。煮ている最中、内臓が解け出して少し汁が濁ってくることもあるが気にしなくてよい

 

 

 

③-1

生の粒山椒は若アユにマッチした5〜7月の季節限定。

 

 

 


③-2

乾燥粒山椒でもよく、包丁で粗く押しつぶす。18〜20cm級アユ3尾に対して10粒くらいを目安にし、これ以上多いと山椒の香りが勝ってしまうので要注意

 

 

 

 


④約15分煮て火を止めた時点で、粗くつぶした山椒を入れて落とし蓋をしたまま30分ほど味を含ませる。常温のほか冷蔵庫で冷やしてもおいしい

 

 

 

 

 


「和風フライ」


内臓を取らないで丸揚げにしたフライはアユ独特の苦味が美味しく、和風のポン酢しょう油でいただきます。ご飯のおかずはもちろんのこ、酒の肴にも喜ばれること請け合いです。
【材料】
15〜16cm以内の小型アユ、フライ衣(小麦粉、溶き卵、パン粉)、市販のポン酢しょう油、青ネギの小口切り、一味トウガラシ、揚げ油

 

 

作り方


①アユには軽く塩コショウを振ってから、小麦粉→溶き卵→パン粉の順にフライ衣を付ける

 

 

 

 


②揚げ油は175度前後に熱し、①のアユを油の中に滑り込ませてカラリと揚げる

 

 

 

 


③淡いキツネ色に仕上げ、ポン酢しょう油には一味トウガラシを添える。また、レモンやスダチなどの“柑橘類&ソルト”もさっぱりとして美味

 

 

 

 


「南蛮漬け」


南蛮漬けというと、唐揚げで食べ残した分を使っても冷めて油が浮いた唐揚げで作っても本来の味がでません、揚げ立て熱々のアユですと南蛮酢の染み渡りがよく、中骨も歯に当たらないほどしっかりと軟らかくしてくれます。
出来立て2~3時間後はフレッシュな甘酸っぱい香りがおいしいし、2~3日間熟成すると尖った酢が落ち着き、マイルドな南蛮漬けに舌鼓を打っていただけます。

 

【材料】
アユ、小麦粉、南蛮酢(酢大さじ6、しょう油大さじ3、砂糖大さじ3、水50cc、乾燥赤唐辛子の小口切り0.5本)、長ネギ、オレンジピーマン、揚げ油

 

 

作り方


①アユは腹を割って内臓を取り除いて血ワタとともに水洗いをし、水気をふき取る。また、好みで内臓を取らずに1尾丸ごとでもよい

 

 

 

 


②南蛮酢は全部の調味料をひと煮立ちさせ、火を止めてから赤唐辛子を入れて荒熱を冷ましておく。煮立つ途中から赤唐辛子を加えると、渋味が出てしまうので注意したい

 

 

 


③長ネギは5~6cmの筒切りにし、焼き網で焦げ目が付くくらいにしっかりと焼く。薄くスライスしたピーマンと一緒に②の南蛮酢に入れておく

 

 

 

 


④アユにまんべんなく小麦粉をまぶし、170〜175度に熱した揚げ油で唐揚げにする。最初は泡が大きくてアユも油の中に沈んだ状態だが…

 

 

 

 


⑤水分が抜けてくると泡が小さく少なくなって、アユが油の表面に浮いてくる。あと数分間転がしながらカリッと揚がる

 

 

 

 


⑥アユの唐揚げは油をよく切り、熱々のまま南蛮酢に漬け込む。2~3時間には味が染み渡り、漬け込み後4日後あたりまでおいしくいただける

 

 

 

 

 


「多国籍風マリネ」


フランス風のエスカベーシュとラテンアメリカ風のセビーチェ、さらに和独特の調味料も加えた多国籍風のマリネです。ライムやゆずコショウを生かしてピリ辛酸っぱい味に仕上げ、パン食にもよく合います。

 

【材料】
15cm以内の小型アユ、ミニトマト・新玉ネギ・ピーマン各色・セロリなど香味野菜、マリネソース(ライムの絞り汁2個に対してエクストラバージンオリーブ油50〜60cc、セロリの葉のみじん切り大さじ2〜3、砂糖大さじ1、ゆずコショウ適宜、塩コショウ適宜)、塩コショウ、小麦粉、揚げ油

 

 

作り方


①アユの下処理は内臓を取り除くか、残したまま揚げるかは好み。下味として軽く塩コショウを振っておく

 

 

 

 


②揚げる直前に小麦粉をまぶし、170〜175度に熱した油で揚げ始める。最初は泡が大きくアユが油の中に沈んでいるが、身の水分が蒸発して油の表面に浮かんでくると火が通った証拠

 

 

 

 


③淡く色付いたら揚げバットに上げて油を切る

 

 

 

 


④香味野菜類は好みのものでOK。新玉ネギやセロリ、ピーマンは薄切りにし、ミニトマトは4つ切りに切りそろえた

 

 

 

 


⑤マリネソースは半分に割ったライムを絞り、他の調味料と混ぜ合わせてフレッシュな酸味を生かすこと

 

 

 

 


⑥追加する調味料のゆずコショウはメキシコの青唐辛子ハラペーニョの代わり。ゆずコショウには多量の塩が練り込んであるので、追加塩は控えめに

 

 

 


⑦密封容器に全部の材料を入れてマリネ液を回しかける。2〜3時間後からいただける

 

 

 

 

 


「開き干し」


自家製の干物作りは滋味を極める最もシンプルな料理で、アユの開き干しの味加減は塩のみです。美味しい自然海塩の力がアユ独特の旨みや甘みを引き出してくれます。釣り立てのアユのほか、冷凍庫に眠っていた落ちアユでも美味しく、軽くあぶった開き干しを肴に一献傾けていただきましょう。

 

【材料】

アユ、約8パーセントの塩水(水1リットルに対し粗塩80グラム、日本酒50cc)

 

 

作り方


①アユの開き干しは背開きが基本。粗塩でヌメリをこすり落として水洗いをしたアユを用意し、まずは頭の付け根から尾の付け根に向かって背身を切り開く

 

 

 

 


②続いて腹骨と中骨主骨の接合部を切断した後、腹の皮1枚を残して腹身を切り開く

 

 

 

 



③最後にアユを立てて中骨を避けるように、頭を半分に割ると背開きの出来上がり

 

 

 

 


④次に頭両側のエラと内臓を千切り取り、歯ブラシで黒い腹膜と血ワタなどの汚れを掃除し、水洗いをする

 

 

 

 


⑤約8パーセントの塩水を作り、15cm以下の小型アユは約20分間、20cm前後の良型アユなら25~30分間浸した後、軽く水気をふき取る

 

 

 

 


⑥近年は温暖化が厳しく、干し腐れの心配がない脱水シート干しがおすすめ。この脱水シートにはさんで冷蔵庫に仕舞っておくと中小型アユなら4~5時間で簡単に開き干しが完成だ。

 

 

 

 


商品名ピチットの脱水シートは東京浅草の合羽橋商店街や大型マーケットなどで市販されており、32枚入り2000円前後と少し高いのが唯一の欠点

 

 

 

 

⑦晩秋の涼しい季節を迎え、落ちアユを干すには釣具店などで売っている網製干物器が便利。風通しのよい場所に吊すとよく、干す時間は3~4時間でOK、身の表面を触ってみて少しウエット感が残るくらいなら干し上がり。焼き網の上で皮目から焼き、少し焦げ目が付くくらいにあぶって召し上がれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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