ーー10アユ料理 ①《塩焼き》

目次へ

a踊り串で焼く

踊り串やのぼり串の打ち方や飾り塩の振り方には調理人それぞれ個性があって、美しく盛り付けられた塩焼きを眺めているだけでよだれが出てきます。この塩焼きには蓼酢が添えてあります

アユ料理の代表格といえば、言わずと知れた「塩焼き」です。和食料理店でいただく塩焼きには踊り串とかのぼり串と呼ぶ串が打たれ、ヒレに施した化粧塩とともに、清流を泳ぐアユの姿が表現されています。また、高級料亭ではさわやかな苦味がよく合う蓼酢(たです)が添えられることもあります。

しかしながら踊り串の打ち方は慣れないとなかなか難しく、また、一般家庭には“遠火の強火”の火加減で香ばしく焼き上げる専用の焼き台もありません。この項目で紹介している本職が仕上げた塩焼きは目の保養にとどめ、機会を見て、アユ料理を得意にしている和食店で舌鼓を打ってみてください。

 

各部のヒレが化粧塩によってピ〜ンと張られ、清流で泳いでいるようなアユの躍動感があります

 

作り方


①アユの内臓の旨味を味わうのは最初、フンを絞り出しておく。腹ビレ下から肛門に向かって軽くしごくとフンが出るので、2〜3回繰り返すとよい

 

 

 

 


②続いて踊り串を打つ手順。アユを右頭に持ち、下目の後ろから金串を刺し入れたら……

 

 

 

 


③アユを折り曲げて中骨に絡めつつ、金串を通していく

 

 

 

 

 


④左頭に置き換えた上身には金串を出さないように注意し、尻ビレ付近で尾を立てるように金串を抜くのがキーポイント

 

 

 

 


⑤裏面から見るとこのような金串の打ち方が基本。串の打ち方には個性的な技が生かされる

 

 

 

 


⑥それぞれのヒレには焦げ落ちないように化粧塩を施した後……

 

 

 

 

 


⑦上身、下身の全体にまんべんなく塩を振る

 

 

 

 

 


⑧古くは写真のような鉄弓(てっきゅう)と呼ぶ金属製の焼き物用やぐらを使い、 “強火の遠火”で焼き上げた。現在の業務用は大型ガス焼き物機が主流

 

 

 

 


⑨この塩焼きには鉄弓の上でアユが安定するように補助の串が打ってあり、全体にいい焼き色が付いたら踊り串の塩焼きのでき上がり

 

 

 

 


b家庭で焼く

アユの躍動感は乏しいですが、電子レンジオーブンの自動レシピで手間入らずながら、こんがりとした焼き色は美味しそう

アユの毛バリ釣りファン皆さんが、家庭でも美味しくいただける実用的な塩焼きの方法を教えましょう。

一般的な焼き方は焼き網を乗せた直火焼きか、ガスコンロ付属の焼き魚器を利用していると思います。しかし、ガスコンロ周りは焦げや脂などで汚れ放題ですから、家人は嫌がるのが大きな欠点です。

ここで推薦したいのは最新式の電子レンジオーブンを活用した自動調理レシピの塩焼きです。何の手間もなくボタン一つで、美味しそうなアユの塩焼きに仕上がりますからお試しあれ!

 

作り方


①電子レンジオーブンのメーカーや価格によって違いはあるが、アユの塩焼き用には自動調理レシピの中から、アジやサンマの塩焼きを流用するのが基本。まずは付属している鉄板と焼き網を準備し、焦げ付き防止に植物性油を薄く塗っておく

 

 

 

 


②塩を振ったアユを並べる。今回は飾り塩をせず、アユの両面全体に振った

 

 

 

 

 

 


③電子レンジオーブンの使い方に従って上段または下段に挿入し、指定の自動調理番号をスイッチON

 

 

 

 

 


④数10分後にはご覧の通り、アユの塩焼きの出来上がり。何回か試してみて焼き加減を調節することも可能

 

 

 

 

 


 

cアウトドアで焼く

青々としたやぶ笹の器に盛り込んで、野趣たっぷりに頭からがぶりと!

 

陶器製の「串焼き器」で焼き上げたアユの塩焼きはプロ顔負けの極上の味

 

これは庭先に設置したドラム缶製の自製アユ焼き器。塩焼きはもちろんのこと、シーズン終盤には落ちアユを素焼きにして保存し、正月用の甘露煮を楽しむファンもいる

 

主にアユの塩焼きを目的とした陶器製などの「串焼き器」が市販されています。河原に運んで野趣たっぷりに味わってもいいですし、自宅に釣り仲間を集めて庭先でアユの塩焼くパーティを開くのも楽しいものです。

炭や練炭の遠火効果によってアユから余分な水分が滴り落ちるとともに、上品な脂が身全体を包み込み、ホクホクとして豊潤な塩焼きに仕上げることができます。

 

作り方


①アユは金串を使って、基本通りに踊り串やのぼり串を打つ

 

 

 

 

 


②30〜40cmの高い位置からアユ全体にまんべんなく塩を振る。これを尺塩という

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


③背ビレ、胸ビレ、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレといった各部のヒレには化粧塩を施す。塩をつまんだ2本の指先でヒレを圧迫するように押し付ける

 

 

 

 

 


④串焼き器の周りを段ボール箱で覆っておくと、遠赤外線効果できれいに焼き上がる

 

 

 

 

目次へ