8《 釣り方 2》

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〈アユの当たりと合わせ方〉

前述の釣り方①で説明した通り、アユ毛バリ釣りの基本的な釣り方は「上げ下げ誘い」「横移動」という2つの仕掛け操作を組み合わせたロッドワークを繰り返し、水中の流れにある毛バリに躍動感を与えることでアユの捕食を誘います。
アユが毛バリを捕食した当たりはサオ尻近くを保持して誘い操作を行う利き手に伝わる“手感度”と、上下に揺らすなどサオ先の変化を読み取る“目感度”に神経を集中させて察知します。
このような上げ下げ誘い操作の際、アユが当たるタイミングは仕掛けを聞き上げてくる途中に感じる率が大半です。開幕戦のシーズン初期や育ち盛りの小型アユ、また、上バリに食ってきた時などはサオ先を小さくトントンッ、ツツツンツンッと小突く目感度と、その振動が手元までクククッと伝わってくる手感度も連動して明確な当たりが望めます。
しかし一転して、ナワバリ意識が強くなるシーズン中盤戦以降を迎えるとアユも賢さを増し、初期のような派手な当たりは期待できなくなります。その当たり方は、サオ先の曲がりがオモリ負荷以上にもたれてお辞儀をするだけの微妙なシグナルが多く、釣り用語では乗り当たり、モタレ当たりと表現します。
アユ毛バリ釣り独特の合わせ方は目感度にしろ手感度にしろ、当たりらしきシグナルを察知したら瞬時に、サオの誘い操作を止めてサオ先もピタリと停止させることが鉄則です。このようにサオ先を止めた次の瞬間、異変を感じたアユが反転し、サオ先が断続的に引き込まれてハリが確実に刺さるイメージです。

なお、サオ先で確認できるアユの当たりと独特の合わせ方はイラストを参照してください。

〈アユの取り込み方〉

アユ毛バリ釣りは全長9〜12mもある振り出し式の長ザオを常用するのに対し、ねらう水深に調節した短めの仕掛けをセットするアンバランスさが難点です。このため、ハリ掛かりしたアユを取り込むにはサオの全長を徐々に縮め、仕掛けの長さに合わせる必要があります。
サオの全長を縮めながら取り込みを行うには掛かりアユを水面で暴れさせず、サオ先を振らさないように注意しつつ水面下を滑らすように誘導してくることがバラシ防止策のコツです。こうして足元近くまで引き寄せたところで、おもむろに玉網ですくい上げます。
アユ毛バリ釣りの取り込み方は難易度が高いテクニックです。今回は側面、正面という2面の組み写真を見て勉強してください。

◎側面から見た取り込み方

①当たりらしきシグナルを察知したら、瞬時にサオ操作を止めてサオ先もピタリと停止させ、次に訪れるアユの引き込みで確実にハリ掛かりさせる


②アユの抵抗が弱まってきたら、手元近くから焦らずに1本1本サオを縮めて取り込み体勢に入る。この際、アユはできるだけ水面下を滑らすように誘導してくること


③アユがバレないようにサオ先は振らさず、すくい込みやすい長さまで仕掛けを縮めてくる


④この段階で玉網を手に取り、アユの最後の抵抗をかわす


⑤焦って玉網でアユを追いかけ回すことは禁物


⑥水面に浸けた玉網は動かさず、アユを呼び込む形ですくい上げるのが理想的

 

◎正面から見た取り込み方

①がっちりとハリ掛かりしたアユの引き味を十分に楽しんだ後、いよいよサオを徐々に縮めて取り込み体勢に入る


②取り込みの途中でアユが抵抗し始めた時は無理にサオを縮めようとせず、サオの弾力で強引をかわすこと


③再びアユの抵抗が弱まってきたらサオ先を振らさないようにサオを縮めていく


④取り込みやすい仕掛けの長さまでサオを縮め終えても、最後の抵抗でアユが大暴れするケースも多く油断は禁物


⑤こうして主導権を握ったら玉網に手をかける


⑥水面に浸けた玉網にアユを誘い込むようにしてすくい上げる


⑦百戦錬磨のベテランでもこの瞬間は会心の笑みを浮かべるはず

 

 

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